2010.10.12   

第7話「ワッツ式ワーキングママ
        〜奥田由美子さん その1〜」 

「いよっ」

私がカフェの待合席でまっていると、後ろから肩をポンとたたいた人がいました。

振り向くと、パーソナルトレーナーの先輩、奥田由美子先生でした。

今回、「リッチエイジング」を幅広いものにしてゆくために、奥田さんにインタビューをお願いしていたのです。奥田さんは、今年成人式を迎えられる娘さん(ひかりちゃん)を育てながら、ずっと仕事を続けてこられました。働くママならではの喜びや苦労、工夫点など、同じ環境にいる人に参考になるだけでなく、そこからリッチな年のとり方もヒントになることが、きっとたくさん盛り込まれています。宝探しをするようなつもりで、どうぞ、みなさんそれぞれの視点で読んでください。

奥田さんは、アクアの世界「WATSUワッツ」で活躍されており、日本でも数少ないワッツインストラクターの1人です。ワッツとは、「WATER SHIATU(水の指圧)」を略した造語です。インストラクターの誘導により体を水に浮かせ、曲げたり伸ばしたりしながらストレッチを行ってゆきます。水の圧力や抵抗を利用するので力を使わず受けられます。カラダの中を流れるエネルギーの道筋に沿って連続的なストレッチ動作を行えるのは水の世界ならではの方法です。また、水の中では関節の可動域も広がり、ストレッチによって血液の流れがスムーズになるため、循環器系、高血圧やリウマチ、もちろん肩こり腰痛の改善も期待されています。

どのようにして子育てをしながら仕事に復帰していったかを具体的に聞いてみました。

奥田さんは、妊娠中からつわりが激しく、出産も3日におよぶ難産で、出産後には妊娠前よりも痩せてしまったほどでした。苦労して会えた我が子の育児に夢中になっているうち、こんなことを言ったそうです。お嬢さんが生後11ヶ月の時、旦那様に「私、このまま育児だけやっとったら子供をコインロッカーに入れてしまうかも知れん」と。びっくりしただんな様は「どうぞ、働いてください!」といって、復帰したそうです。たまたま通っていたベビースイミングのコーチに「奥田さん、素人じゃないですね」と言われ、採用されることになり、はじめは週に2回、2〜3時間から、プールの仕事に復帰したそうです。

荒川「はじめて復帰したとき、どんな気持ちでしたか?」

奥田「あー・・・、保育園で娘とバイバイしたとき、涙がでた」

「でも、娘は泣かずにケロッとしていたな。逆に1歳過ぎてからの方が泣いた事もあった。でも彼女は保育園で言葉を覚えたから、完璧に標準語やわ」

そして、仕事の量は週に2日から3日4日と増やし、預ける時間も少しずつ増やしていったそうです。

しばらくして、延長保育、バス通学、全給食が可能な幼稚園に移るため、引越ししたとのことです。自分が動くために、何が必要かを考えて、そういう条件の幼稚園を狙っていたわけです。

お嬢さんと話しをあわせるために、ポケモン101匹の名前を全部覚え、モーニング娘の名前も全部おぼえたそうですが、こういうのを努力というのでしょうね。また、だんなさまもよく協力してくれたとのことですが、そのことについても聞いてみました。

私が「そんな、協力的な旦那さんって、ある意味、ママの配慮が陰で相当あると思うのですけど・・」というと、

奥田「あのね、おだてるんですよー」

「雨が降ってきて、洗濯ものとりこんでくれる?といって、やってくれたら『ありがとう。助かるわぁ』と大げさに言う。ちょっと言うだけで、相手が気持ちよくなる、自分トクやん。もう、褒め殺しですわー」

荒川&奥田 「はははは!」

荒川「じゃあ、逆にケンカしたことはありますか?」

奥田「あるよ!大喧嘩して、大阪まで車とばして帰ったことがある。生後8ヶ月の娘をおいてね、日曜の晩に。ちょっとはアンタも苦労しろ、と思った」

荒川「旦那様はどうしました?」

奥田「仕事どうしたらいいねん!て、言ってたよ。こんな小さな子置いてあんた、仕事いくんか、ていったよ(笑)何が原因やったんかなぁ、今となっては忘れてしまったけど、なんか腹が立ったんやろね。でも、ケンカは、あとにも先にもそれ1回だけやったな」

奥田「でもね、仕事することが楽しいということはアピールしていた。逆に、辛いことはあまり言わないようにしていたけど、それがしんどかったかな。人間関係でややこしいときは相談するときはあったよ」

荒川「根本的に仕事をやらせてもらっている、という考えだったんですか」

奥田「うーん・・、なんか、それも私がワガママなんかもしれんけど、なんで夫婦なのに、二人の子供なのに『やらせてもらっている』と考えなきゃいけないのか、不思議なんよね。応援も協力もしてくれるけど、根底に男性ありき、という考えじゃない?欧米なんかは、映画とか見ていても協力的やん。日本には、まだまだ、ああいう感覚はないよね」

荒川「そうですね。じゃあ、奥田さんの収入は家計に入れていたんですか?」

奥田「収入はおこずかいだけど、旅行に行ったときなんか、私の収入から、もう少しいいホテルにとまったり、いいレストランで食事したりとか、していたよ」

奥田「夫はよく手伝ってくれたよ、お皿あらいも、洗濯物のとりこみも、お風呂は完全に彼の仕事やったしね。あぁ、ズボンのアイロンがけもできるし、ワイシャツのボタンつけなんか、あの人の方が上手やったりしてね」

荒川「すばらしいーー!」

奥田「やっぱり、自分ひとりでは育児はできないよ。1人で頑張るより、近くにいる人に頼んで、御礼を言うほうがよっぽどいいと思わん?」

荒川「そうですね、本当に最近それを痛感しています。私は、つい自分でやってしまうんです。彼も家ではのんびりしたいだろうと思って。でも、自分がいっぱいいっぱいになっちゃって、気付くと目がこんなに釣りあがっちゃってる。イライラして彼に当たって・・、逆効果ですよね」

奥田「今は、まだ赤ちゃんが小さいのだから、いろんな人に甘えていいと思うよ」

インタビューの内容はまだまだあるので、後半へ続くとしますが、同じ境遇にいる先輩として、とても参考になりました。子育てを経験した人ならではの溢れる愛情が前面にでていて、インタビュー中も奥田さんの人間的な魅力がキラキラ輝いていました。

次回も、どうぞお楽しみに!

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