2011.02.14    

第8話「ワッツ式ワーキングママ」
     〜奥田由美子さん〜 その2

前回は、ワッツの第一人者、奥田由美子さんとの対談を書きました。今回は、その続きです。お子さんを出産され、少しずつ仕事に復帰しはじめたところまでを書きました。
  
 奥田「うちはもう、娘も大きくなってきているから、娘の生活もあるし、オトナとして扱っているから、口出ししないようになってきているかな。主人も今単身赴任中やから、最近はマスターズの湘南オープンウォーターに出たりしているよ」

荒川「指導者としてカラダを使うだけでなく、アスリートとしても訓練されているのですね。すごいなぁ。でも、娘さんとのコミュニケーションはどうしているのですか?」

奥田「ん?メールよ。朝ごはんは、うちは自分の分は自分で作るしね」

荒川「親が世話をする、というより、同居している、といった感じですか」

奥田「うん、そうだね。」

荒川「でも、そうなるまでが色んな工夫があったのではと思いますが」

奥田「うん、徐々にね。小学生低学年のときは学童保育にいかせていたし、マンションのママ友達は、働いている人が多かったから、ママ同士で子供らを預けあってたよ。夏休みはお弁当もたせて、順番にもちまわりで家をまわった。でもね、小学校4年生くらいになってくると、「今日は一人でいたい」ていうときもあったな」

荒川「自我の芽生え、というやつですか」

奥田「うん、そう。そういうときは無理やり行かせなかった。その代わり、うちでお手伝いをさせていた。あ、お手伝いというより、あなたの仕事、として教えていた。お米とぐ、お風呂はすぐお湯がはれるように洗っておく、くらいは仕事としてやらせていたな」

荒川「すごく助かりますね!」

奥田「うん、でも実際は『ありがとう助かった!』といって、娘が寝てから洗濯物たたみなおしたりしていたよ。包丁も、もちたくなるときがあるんやね。夕食時って時間がないから、ゆっくり包丁使いを教えてあげるより、自分でやったほうが早いやん。でも、ココでガマン。待って、子供のやりたい気持ちを応援するようにしていた」

荒川「うーん、なるほど」

奥田「それから、うちは大掃除しないの、なんでもためてしまわないようにしていたよ。換気扇やクーラーはダスキンを利用していたな」

荒川「お願いするところはプロにおまかせ、ですね。ところで、反抗期はありましたか?」

奥田「あったよ。14歳ころかな。ちょうど、サカキバラ事件なんかがあったときで。

 子供も不安定になるときがあるんよね。 学校にはもっていかないよう約束して、簡単な携帯は渡した」

 「それから、よくハグしたな。友達とケンカしたときなんか、黙ってすりよってきたから、そんなときは黙ってハグしていたよ。ほら、なんとなく言葉で説明するのが面倒くさいことってない?」

荒川「あります、あります」

奥田「今だに、娘に『お母さん疲れたから抱っこしてー』て言うてるよ。そうすると、ヨシヨシしてくれるしね」

荒川「ふふ、立場が逆転してますね」

奥田「そう(笑)それはいい習慣やったと思うわー」

奥田「そうそう、ハグで思い出したけど、ワッツをやっているとき、母親であってよかった、とつくづく思うんだ」

荒川「それはどうしてですか?」

奥田「浮いている人が、我が子のように思えるの。その人が気持ちの良い穏やかな顔すると、波長が整うんかな、自分も穏やかになる。ワッツしながら自分もリラクゼーションできて、お金ももらえるなんて、なんていい仕事やと思うわ」

荒川「なるほど。素敵ですね。では、母親になって、こう変わった、ということは?」

奥田「優しい気持ちでみてあげることができるようになったかな。今までは自分が一番だったけど。でも、今は自分はまず置いといてっていう考えやん。自分しんどいけど、ご飯あげなきゃ、てね。だってさ、思わんかった?自分以外のことでこんなに必死になったことある?」

荒川「あぁ、ないですね。そうですよね、自分がいないと生きていけないですもんね」

奥田「そうやろ?そんなに他人に一生懸命になることにびっくりしたんよ。きっとそこから来ているんやろね。今、お客さんに、気持ちよくなってもらうにはどうしたらいいかって考えるのは。」

奥田「それと、要所要所ラッキーがあったとき、「運がこっちに向いて着ている」というのをつかんでいる。日々の小さいことの積み重ねをしているというか。今日も新しい施設に行き始めて間もないから、予約は入っていないけど、自分の顔を売るためにプールにたっているよ。朝8:30〜14時まで、9月の間だけって決めてね。」

荒川「種をまいているんですね」

奥田「それとね、絶対、チビちゃんは大きくなる。自分で、自分のこと何でもするようになる。うちも3歳頃、オムツ取れないで四苦八苦したけど、今はしてないもんな」

荒川&奥田「あははは!」

奥田「でも、今思えば、3歳くらいまで手元に置いておいてもよかったんかなと思う。
今、思えばね。あの時の私にはそれは出来なかったと思うけど」

荒川「そうですか」

奥田「うん、やっぱり、世間からおいていかれる、現役はなれたら復帰できないんとちゃうか、と思ってたしね。ほら、三つ子の魂ナントカっていうやん。娘のすべてを知っているわけではないからね。まぁ、だからおばあちゃんは孫に甘いんやね、余裕があるから」

荒川「復帰したとき、体力や指導力が落ちたな、と感じたときはありましたか?」

奥田「それが、子供相手の仕事やったから、そのままやったんよ。今はやっているものや、毎日お母さんと一緒みて。セーラームーン、アンパンマンがはやっていたな」

奥田「ただ、娘が同じスイミングスクールに入っていたけど、娘にはどうしても厳しくなってしまうんよ。同じようにみているつもりでも他のお母さんの目もあるから、自分の子だけ甘いと思われるのがイヤで、ついそっけなくしてしまうんやね。でも、子供はやっぱお母さんなんよ。あれはかわいそうなことしたな」

荒川「高齢出産する女性は増えてくるとおもいますが、何かメッセージを頂けますか」

奥田「仕事は絶対逃げない。それから、子供は絶対大きくなる。子供とべったりなのはほんのちょっとの間だけよ。それと、ある程度社会でてから育児する人は(金銭的に少しは)余裕があるはず。ベビーシッターやおそうじなど、うまくプロの手をかりればいい。いいお母さんしようと思うとしんどくなって、家庭の雰囲気わるくなる」

奥田「体型で悩んでいたら7、8キロの子供使って、トレーニングすればいい、それから、腹筋だけはしていたほうがいい。それと、何でも楽しみましょう精神。自分から待っているんじゃなくて、仕掛ける精神、かな」

荒川「なるほど、やっぱり経験した人の話は、情景が浮かんでくるからすごいな。ありがとうございました」

奥田「こんなんで参考になるかな、ありがとう」

と、こんな感じでした。おいしい野菜は調理せずにナマで食べたほうがおいしい。

 このインタビューも敢えて何も付け加えずに閉じたいと思います。皆さんの心にそれぞれの想いが残りますように願いを込めて。ありがとうございました。

 

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