2010.05.03   

第39話:クレド(指針と行動規範) その1 

昨年秋、我が社では、クレド委員会というものを立ち上げた。

クレドとは、信条という意味で、成基コミュニティグループ(以下SCG)の従業員としての在り方(行動に対する原則)を示す。

簡単に言えば、この委員会は、従業員一人ひとりが、目的、目標を明確化し、また具体的施策を構築、実践し続けるための行動規範といってよいだろう。

弊社では、設立趣意書に謳う「日本の歴史と伝統を背景とし、その上に立った立派な日本人、同時に世界的基盤に立った日本人を育てる」という人間教育の根本を常に追及しているため、すべての従業員が、クレド(SCGの行動規範)を完全に血肉化し業務に当たることが必要とされる。

それによって初めてすべての顧客・塾生の「自立・夢現・共創」が約束され、グランド・ミッションに掲げる「教育を通した“人づくり”」が実現するのである。

こうした中、SCGでは、以下、5つの「価値基準」を連動させることで、グランド・ミッション達成への道標の明確化を図っている。

1. ミッション(使命)
2. クレド(指針・行動規範)
3. ビジョン(近未来の姿)
4. 方針(基本方針と年度方針)
5. 部門計画と日常行動

ミッションから来る、クレドを規範とした行動を従業員が取り、クレドを指針としたビジョンを掲げる。そして、その掲げたビジョンを具現化するために、方針を定め、それを各部門の計画に落とし込み、日常行動を改善し、徹底化していく。

この循環の仕組みこそが「価値基準」の真意であり、その効果は仕事という場だけではなく、私生活や子どもたちの日常にも大いに取り入れることができる。

わかりやすい例として、仮定のA君を登場させて説明してみよう。

A君は、中学1年生の時に、戦争や飢餓で苦しむ海外の様子をテレビか何かで見た。

そして、そのことにひどく心を痛めたA君は、どうして同じ人間なのに、こんなに苦しむ人が世界の中にはいるのだろうと考えるようになる。

そして、様々なことを調べていくうちに、ある使命を感じるようになる。

「そうだ。大人になったら、国際協力の仕事について、貧困で苦しむ人々を救おう!」
 ここで、A君にミッション(貧困や飢餓を地球から根絶)がおりたわけだ。

では、そのミッションを達成するためには何が必要なのだろうか。

重要となってくるのが物事を進めるための方針や基準であり、それがA君のクレドに当たる。

できるだけたくさんのことを知りたくなったA君は国際支援をしている様々なNGOのイベントに両親とかたっぱしから参加した。
わからないことがあれば積極的に質問をして、自分が将来、国際協力の仕事に就くためには何が必要なのかを、ネット等も駆使し根気よく調べ上げた。国際支援に関する支援者側の心構えについても多くの意見を聞いてまわった。

こうして、国際支援とは何なのかを改めて両親と一緒に考え、自分が最も理想としている国際支援の信条について整理してみた。

1. 真の貧困を見極める
          貧しい人々が貧しいのではない。
         本当に、貧しい人とは、貧しい人々に歩み寄れない人々のことなのだ。
         自分は心の貧しい人にはなってはならない

2. 相手を尊重する
           常に相手の立場に立って物事を考えなければならない。
           自分が良かれと思っていることが支援を必要としている人にとっても良いとは限らない

3. 相互依存と共生
           相手に与えていると思ってはならない。
           実は、与えている自分たちも多くを与えられているのだ

これで、A君のクレドが出来上がった。

次は、自分の近未来(国際協力の仕事に就く自分)を描き出し、進むべき道を具体的に考えなければならない。

A君は両親と一緒に、今後の進学について話し合った。

どこの学校に行けば国際協力の仕事に繋がるのか、どんな分野がいいのか、また、ひとことに国際協力といっても、A君のクレドは常に現地の人たちと接することに基づいているため、事務仕事では意味がない、ということも見えてきた。

こうして、進学が具体化してくれば、今、現在その目標のためには何か必要なのかが一目瞭然となる。

まず語学力と健康。

A君は、語学力がなくてはどうにもならないと自ら気づき、今まであまり好きではなかった英語の猛勉強に励んだ。

また、健康でなければ国際支援などできないとわかり、より健康な身体を作るため、嫌いな野菜も進んで食べるようになり、運動も積極的に始めるようになった。

以上がA君のエピソードであるが、本題に戻して、A君の例で価値基準をまとめると以下になる。

1. ミッション=貧困や飢餓を撲滅して平和な世界を創る
2. クレド  =「真の貧困の見極め」「尊重心」「相互依存と共生」
3. ビジョン =国際協力関係への就職(しかし事務職でない現場職)
4. 方針   =語学に力を入れている高校への進学
5. 個人計画 =第1志望校合格のための勉強、語学強化、健康強化
 
 そして、英語猛勉強の日常の中で、A君自身が自分のミッションを何度も思い起こし「価値基準」を研磨して進んでいったわけである。

ミッションが明確化し、クレドに沿ってビジョンを掲げれば、目先のことに追われがちな日常でも、脱線することはない。

子ども達にとっても、この方針は、「夢達成」へのもっとも合理的な道標なのである。
 が、教育業界である弊社の顧客(保護者)が抱くニーズは、主に、志望校合格・成績の向上・苦手科目の克服の三つの目標達成である。

一見、目先のことだけのように思いがちだが、実はすべての保護者の中にはニーズ(必要性)だけではなく、このニーズの裏に隠されたウォンツ(願望)が存在する。

我が子に幸せになってほしい。夢を実現してさせてほしい。そのためには色々な能力を高めて欲しい。

先のA君の例で言えば「うちの子は国際支援の仕事がしたいと言っているので、その近道となるような高校に入れたい。英語力もアップさせたい。でもそれだけではなく、海外で様々な人と上手にコミュニケーションを取れるよう、コミュニケーション能力や社交性も身につけさせてほしい」という願望である。

こうした顧客のニーズとウォンツを正確に捉え、それに基づいた教育サービスを提供し続けることが、SCGの従業員責務である。

今後、SCGが達成すべき具体的命題は大きく2つ存在する。

1. 生涯顧客の創出
2. 地域NO.1・ONLY ONE の教場の創出

生涯顧客の創出とは、幼児から社会人に至るまでラインナップした教育サービスを受けていただく顧客を増やすこと、つまり、顧客に「生涯教育」の場として選んでいただける教育機関となることである。

高品質化された教育サービスをすべての年齢層に提供し続け、信頼を得続けるということだ。

また、地域NO.1・ONLY ONE教場の創出とは、文字通り各地域で地域の教育ニーズやウォンツに最も貢献し、最も支持され、愛される教場にするということである。

貢献の対価として適正利潤を得て、更に地域に還元するという「拡大再生産」を確立し、地域に長く根付いた教場になるという大きな方針である。

以上を具現化するための、SCGのクレド(行動規範)が「顧客本位」「独自能力」「従業員重視」「社会との調和」の4つの理念なのである。
 
 次回は、このSCG4つの理念についてお話をしたいと思う。


志あるリー ダーのための「寺子屋」塾トップページへ