2010.08.31   

第42話:クレド3つめの理念(従業員重視) 

今回も前回に引き続き、クレド(信条や行動指針)の3つめの弊社の理念「従業員重視」についてお話したい。

昨今ではこのクレドを従業員の自主的な行動を促すツールとして入れている企業も少なくないが、弊社も例外ではない。クレドは「指針」にすぎない。従業員は指針に基づき具体的行動を考えなければならない。この点が、行動そのものを規定するマニュアルと異なる。具体的行動を考えることが、従業員の自主性やモチベーションを引き出し、ひいては従業員としての誇りを形作ることになる。

3つめの理念「従業員重視」は、まさに従業員としてのやる気と誇りを引き出す指針といえるだろう。

そこで、今回もこの「従業員重視」をわかりやすく以下4つにわけてご紹介する。

従業員重視その1(成長の風土)

まずは、従業員満足度(ES)の向上なくして、顧客満足度(CS)の向上はありえないということだ。

その観点から、従業員一人ひとりが成長しつづけることを喜びや楽しみとし、互いに高め合える職場を創る。そして、一人ひとりが、自分の仕事に愛情と誇りを持って職場を改善・変革し、自己最善の行動をもって理解し、それを知識化していく風土を持ち続けなければならないのである。

顧客に接しているのは、従業員個々である。その従業員が喜びや楽しみを仕事に見出し、誇りを持って接すれば、その空気は顧客自身に必ず伝わる。

つまり、自分の職に対する誇りの高さが、顧客満足度の高さとなり、従業員全体の満足度を上げることが会社の風土の向上に繋がるのである。

従業員重視その2(生きがい・やりがいの創造)

弊社では、グランド・ミッションを理念の基(もとい)とし、「人づくり」を通した社会貢献を実現するため、個々のパーソナル・ミッションを構築している。
 
 そして、日々の行動規範として、誇りを持って信条を実践している。

よく、「何のために生きているのかわからない」「何をしていいのかわからない」という言葉を若者から耳にする。これを、ただの悩みや愚痴と捕らえてはならない。

生きる目標がない人間は、自己肯定感が非常に低く自己嫌悪に陥りやすい。

私は、従業員たちに決してこのような思いをさせたくないと思っている。

つまり、従業員たちには、パーソナル・ミッション(個々の人生目的)を明確に持ってもらうことで、自己を肯定し、自分の生き方に誇りをもつことが、従業員重視に繋がると考えている。

さて、真の幸福とは何だろうか−?

本当の幸せとは、生きがい、そしてやりがいを見出し、それを実行することで、適切な収入が得られることではないだろうか。

お金だけをもらっていても、そこにやりがいが見出せなければ幸せとはいえない。

逆にやりがいがあっても、生活が困窮するようでは、笑って暮していけない。

つまり、人は生活の糧である自分の仕事にやりがいと生きがいを見出したときに本当の幸せを感じるのである。

従業員重視その3(改善・変革の姿勢)

弊社では従業員個々が「自分が源泉」という立場をとり、勇気を持って挑戦する文化を創造し続けている。社会、事業所(教場)、自分自身をグランド・ミッション、パーソナル・ミッションに照らし、選択のセンスにより、守るべきものは堅持し、変えるべきところは速やかに変革する。それが、弊社の担うミッションと未来像を具現化するために必要なのである。

ご存知のとおり「頑固」な従業員は創らないということだ。
 「正しい」ことは、その時代、状況、環境によって変化する。

その変化をいちはやく察知するセンスを日頃から身につけ、さらに改善すべき点を見出すセンスをも身につけること。考えを改めることも、時に前進に繋がるのだという意識を常に身につけ、普遍的なものと変動的なものを見極める能力を育てる企業でありたいと常に考えている。

従業員重視その4(共働する喜び)

弊社では、情報共有や改善・変革を意図したベンチマーキングを通し、サービスの高品質標準化を実現している。 

ベンチマーキングとは、ひとことでいえば「ベストに学ぶ」ということだ。

ベスト・プラクティス(経営や業務において、もっとも優れた実践方法)を探し出して、業界を超えて、世界で最も優れた方法、あるいはプロセスを実行している組織から、そのプラクティス(実践方法)を学ぶ。

そして、そのプラクティスを自社に適した形で導入し、自社のやり方とのギャップを分析して、ギャップを埋めていくというものだ。これが、プロセス変革を進めるための一連の活動である。

ありたい姿・あるべき姿と現状の姿とのギャップを課題として捕らえ、一人ひとりが当事者意識を持って日々問題解決に当たることが重要なのである。

企業の繁栄・存続を強く支えている顧客本意、従業員重視をクレドに置く事は、経営者と従業員のモチベーションを高め、自動的に企業を、成功へと導いてくれるだろう。

経営者はもとより、そこで働く従業員、顧客にまで、その理念は伝わっていくのである。

従業員がお客様に対して、正しく・潔く・感謝し続ける。

社員が誇りを持ち、笑顔で、接することが顧客本位であり、成功の鍵なのだ。

クレドを開発し浸透させると、まず従業員・経営陣が刺激され、顧客もそれに続く。

 企業そのものの風土・体質が改善され、非常に強固な集団として生まれ変わる。同時に、企業とそこで働く人・かかわる人との間に理想的な関係が構築されるようになるのだ。

その中でも今回の従業員重視は、最も重要な理念だ。

従業員個々のパーソナル・ミッションが弊社のグランド・ミッションを創造するように、企業を作っていくのは従業員個々の能力に他ならないからである。


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