2009.03.16  

第31話 「千早振る」

1. 千早振る 荒振る


 
「千早振る(ちはやぶる)」と「荒振る(あらぶる)」という言葉があります。これは正しい神の力と悪い神の力を表す言葉です。 一言でいえば「光の力と闇の力」ともいい「螺旋波動と鋭角波動」ともいいます。

千早の「千」は、千木(ちぎ)の千で、細かに数多くという意味です。「振る」は、振り回す、または振る舞う、振り回す、の意味です。同じ意味で「フルベユラ フルベユラ」という言霊があります。これは、天の数歌(ヒト、フタ、ミ、ヨ、イツ、ムユ、ナナ、ヤ、ココノ、タリ、モモチ、ヨロズ)という創造、進化を司る言霊と併用して唱えることで効果はより強力なものとなります。

「フルベユラ」の「フル」の言霊は、縦の力をもって強く振る所作をあらわし、罪汚れを祓い落とし、振り落とします。ユラは、「揺らす」で、横の力をもって固いものを柔らかに揺らしてほぐし、滑らかにし、細かな汚れも逃さず綺麗にします。このフルベユラの言霊の活用で、縦と横の十字が組まれ神界の禊祓いの技が決行されます。

この言霊は、主に病を災いを祓い癒す際に使われますが、魂を振って揺らし、邪気を振り落とし清めるという非常に優れた言霊です。

さて、千早振るとは、毎秒何千万回も高速旋回によって起きる微振動ということです。 それは、例えば独楽(こま)が高速旋回して、まるで消えて止まっているような状態をいいます。

それに対し、荒振(あらぶ)る神たちの「荒」とは、荒っぽく、粗野に、雑にということ、またバランスが悪く、大雑把、不安定なという意味です。それは独楽でいえば、勢いなく、ぐらぐらと回っており、いつ回転が止まってこけるか分からないような不安定な状態です。

 

2. スミキル

千早振る独楽の回転は、静止しているように見えても、その回転は猛烈な旋回を続けています。これを「スミキル」と言います。

このスミキル状態になりますと、まわりのどこからでも触れれば触れたものが弾きかえされる力を持ちます。しかし、荒振る独楽の回転は、ちょっと触れば倒れます。右へ向かって押せば右へ倒れ、左へ押せば左へ倒れる。つまり、周りの意見に押し流されるような芯のなさを表します。

千早振る状態は、旋回によって生まれた中心軸が、周囲へ向かってエネルギーを放射し、また中心に向かって吸収する力を兼ね備えています。真ん中の軸と円周が見事に融合し、美しく、バランスのとれた世界を見せます。

千早振る世界は、前後上下左右のどこにも偏り無く、真ん中の一点に集中し、同時に四方八方に、その中心力が発露する力を有している世界です。これこそ、完全な鎮魂に入った状態です。

鎮魂は千早振るを体現させ、それはスミキル状態をつくります。スミキルは「スの身に成りきる」ことで、主神(創造主)の心をわが心となすことです。 人も荒振ることなく、千早振る状態でありたいものです。

 

3. 大気中に遍満する言霊

本来、主神の統括するこの世界では、「スースースー」と、水蒸気よりも霧よりももっともっと細かい気に満ちています。そこに存在するすべてを形成するものは、よりきめの細かい分子で構成されています。 ですので、空気そのものが肌ざわり滑らかで、甘く、ふくよかであることを感じます。まるで絹のような滑らかさです。

このような微細な水火が連なっているのを「極微点の連珠糸(こごこのさぬき)」と言います。それは75声の言霊で構成された世界です。人々は、この日本の国を古来より「豊葦原の瑞穂の国」と称し、潤いある瑞々しい国であると称賛してきました。

また、言霊の幸はう国と称したのも、言霊75声の力による、水気の潤いがあればこそなのです。言霊の乱れとは、75声の荒振りです。その荒振りは、大気中の極微点の連珠糸を崩壊させます。

そうなりますと、極微点の連珠糸の構造分子の目が粗くなり、凝り固まります。これが邪気です。邪気は磁気を狂わせ、人の世になだらかさ、ゆるやかさ、滑らかさを消します。これは水質汚染と同じです。気は本来、火であり、火の本質は霊です。

その火は水によってはじめて本来の働きを発揮させます。ですから日本では、気の活動力を称して「水火(いき)」と言います。

水のもつ清らかさ、透明さがなくなると、物と物とつなぐ融合の働き、万物を清めるという水の働きが失せます。渦巻く流れが止まると水はよどみ、悪臭を放ちます。そこに蚊や蝿がわき、世は古事記が示すような、五月蝿(さばえ)なす・・・という悲惨な状況になるのです。

水火は、火を真中に置き、周囲を水が囲っている「○〜水」に「・〜火」の形です。この水の部分が悪しき言霊の力で破壊されると、中の火が表面化します。

火が表面化しますと、周囲は乾いて潤いを無くし、人の心も優しさを欠いてきます。許しあい、愛し合うという気持ちが著しく損なわれて、ちょっとしたことに腹を立てて争いが起こります。火の力は、大いに文明の発展に寄与しました。

人類は火をもったときから、文明が起こったのです。確かに火の力で物は豊かになりました。しかし便利さと引き換えに、人々の心が火の犠牲になりました。過剰なる火力の蔓延は破壊を促します。戦争はその最たるものです。

現代、水の豊かさが消え、火のみが勢いを増して、それがもうピークに達しようとしています。

 

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