2009.11.09    

第37話 「言霊の火水(ひみつ)その1
    〜神道の秘儀による宇宙エネルギー獲得法〜 

1. 音声がもつ力

古来、この大宇宙はアオウエイの音をもって、上下前後左右のバランスを保っているといわれます。もしこの音階が崩れたならば自然界のバランスも崩れ天変地異が発生すると言われています。ですから「常にこの音階を調整すべく天津祝詞を奏上するのだ」と出口聖師は述べられています。

量子力学は、すべての物質やエネルギーには固有の振動数があるとされています。


 1800年のはじめ、ドイツの科学者・エルンスト・クラドニは、砂をまいた皿のそばでバイオリンを弾き、砂が幾何学模様を描くことで音が物体を動かすことを証明しました。

その後、さまざまな周波数の音を発生させ、液体、固体、粉体などに周波数が与える影響を実験して音には形を作る力があり、形に動きを与え、形の変化に周期性を与えることが分かりました。

イギリスのピーター・ガイ・マナー博士は人体の臓器や組織に固有の振動数、周波数があることをつきとめました。病気というのは本来の周波数が乱れているためで、乱れた部分に本来の周波数を共鳴させ、元の周波数に戻せば健康になると考えました。

ヨハネによる福音書の第一章にある以下の文が思い起こされます。

愛情に満ちた言葉には名曲にも似たリズムがあり、リズムから動きが生まれ、動きは温かさを生み出します。長い人生をおくっていますと、なるほど言葉は私たちの人生に深い影響を与えているのは明らかであることを感じざるを得ません。人は言葉により生き返り、言葉により死にます。良い言葉は命であり薬です。心のこもる言葉は言霊となって一種のエネルギーをもちます。

言霊には「天地人」と言いまして、天と地を結ぶのは人であるという考え方があります。

人の体を癒す言霊は、すなわち天地を癒す言霊です。逆に人を病み患わせる言霊は、すなわち天地を病み患わせる言霊です。私たちはつとめてよい言霊を使うよう努めたいものです。

2. 宇宙の力を集める不思議な文字

言霊を使うには、音声ばかりでなく、その音の姿、形を具体的に現し、それを動きに変えますと、その言霊の効力は大いに発揮されます。効力とは「光」と「熱」が生まれるということであり、創造の力が発現されることです。

言霊を形象化したもので「水茎文字」というものがあります。万葉集にも登場し「瑞組木文字」とも書きます。神道で吉凶を占う祭事に用いる天津金木(天津神算木とも書く)という小さな角材を置きならべて出来た形の文字で、75通りの言霊を表すものとして今に伝えられています。琵琶湖のある場所でたびたび現れたといわれ、湖の竜神が守護していたという伝説があります。この文字の解読に半生をかけたのがわが師、故奥山忠男でした。師は武道の起源を「剱(ツルギ)」に求め、その操作法を水茎文字に見出したのでした。

私は奥山師とともにその一大プロジェクトに加われたことは身に余る光栄であり、いまとなっては何ものにも代え難い至福の時間を過ごしたものだと心から感謝しています。

和良久はこの水茎文字、つまり天津金木の理念を基本として組まれた稽古です。天津金木は「高天原(たかあまはら)に満ちる神霊の火水の力」を集める方法です。これを今風に言えば宇宙エネルギーを集めるというという意味ということになります。

和良久では、この天津金木75の形を手で形作ることによって宇宙のエネルギーを取り込むことを行っています。

人は神が創った最高の芸術作品だと言われます。私たちはこの「天津金木の型」を続けることにより、神様の御心に適った人材の一人となりたいと願っています。

さて、この文面で、そのすべてを紹介するのは無理ですので、ひとまず基本になる型のみを紹介させていただきます。わかりにくいとは思いますが、文を参考に試していただき、天津金木の神秘の一端に触れていただければ幸いです。

3. ハンドサインで行う天津金木

言霊の基本の音声に「五大父音」といわれる「アオウエイ」というのがあります。


 この意味についてはさておいて早速実技に入りたいと思います。

まず「左手は火」、「右手は水」ということを知っておいてください。

これらを、心静かに声を発しながら行うわけです。

いまはすでに途絶えましたが、実は手で天津金木を表現することは古来より行われてきました。本来、人体こそが地上世界における最高のエネルギー地場なのです。実際はすべての音声といわれる75通りの言霊の形を行うわけですが、いづれも以上五つの基本形を組み合わせて形を作ります。

さて、もう一つ、「片手で行う場合」もご紹介します。

以下、左右いずれかの手で行います。

これに準じ、75声の形を行います。
なを「ズ、ス、フ」など特殊な言霊の形は以下のごとくです。

海外に目をやると、よく似た手法があります。ハンガリーの音楽教育で、「カウエンのハンドサイン」というもので、作曲家コダーイ・ゾルターンが耳の不自由な人の音楽教育のためにこのハンドサインを使ったといわれています。手の形で「ドレミファソラシ」を表現しています。これは映画「未知との遭遇」でも使われました。

ちなみにドレミの起源は、11世紀にイタリアのグィード・ダレッツォが「聖ヨハネの賛歌」の各フレーズの歌い出しの音の高さと言葉を結びつけて音に名前をつけたことが始まりだそうです。イタリアをはじめヨーロッパとご縁ができた昨今、こういった言霊にまつわることが徐々に明らかになっていくことが不思議です。

   第38話 「言霊の火水(ひみつ)その2につづく。

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