2011.05.10      

第58話 「あわじ結び」

日本古来からの縁起物の一つとして「あわじ結び」というものがあります。慶祝時の引き出物の水引の結びや、開運のおまじないとして多用され、いまでも、皆様御馴染なのが、結婚式などでお祝いにのし袋を用いられる際の表の結びがこのあわじ結びです。

アワという言霊は「天地」という意味です。神人合一と言う目出度い意味があります。この結びに用いられる紐の色ですが、赤色、もしくは金の紐は陽をあらわします。これは火であり霊です。白、もしくは銀の紐は陰をあらわします。これは水であり体です。つまり霊体一致という、物質と精神の融合した状態です。そして、この結びは、万物のエネルギーの流れである螺旋運動をあらわしています。

あわじ結びは、左右を引っ張れば引っ張るほど固く結ばれます。宇宙はこのように螺旋で固く結ばれあって銀河を形成しています。この流体のように流れる形を古来より竜神の御働きと言いました。陰陽に分かれて対称に働く様子は常に螺旋運動によって「交わっては離れる」を繰り返します。その様子はまさに私たちが行う紐の結び方と同じです。この二つの螺旋の働きを「火竜または水竜」、「金竜または銀竜」といいます。

結びは「蒸す」「生す」であり、「産む」言霊です。要約しますと、あわじ結びとは「天と地の水火を合わせで産み出す」という意味なのです。さて、私たちの剱を振る軌道をよくご覧になってください。実は私たちの剱の旋回はすべてこのあわじ結びになっているのです。あわじ結びは四拍のリズムです。これは言霊のリズムです。

言霊の技である和良久の剱は、振れば振るほど幸せになる打ち出の小槌です。いまこそ私たち人類はこのあわじ結びのように国境を越えて固く結ばれ、心を一つにして大峠を乗り越えていかねばならぬ時に差し掛かりました。

私たち和良久の稽古人は、稽古で、あるいは演武や奉納で世界の人々の健康と幸福を願い、いたるところであわじ結びを行い、虚空に慶祝の水引をかけて回りたいと思います。


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