前田比良聖　第９３話「天津金木　３」

天津金木は、天之御中主神が高天原（タカアマハラ）に成りまして、天地初発し、万神万生万有が漸次発現したその真相の一切を本位として研究する学術である。
天津金木は、天之御中主神の「中主～ナカヌシ」に立脚したすべての中心的学術であり、創造以前の創造、統一以上の統一を探求し、絶対束縛の中に絶対自在を見出すものなり。
古事記に記されている「タカアマハラ　ニ　ナリマセル」の「なりませる」には、「成る」「生る」「鳴る」三つの意味があることを知ること。
「成る」は天津金木、「生る」は天津菅曾、「鳴る」は天津祝詞を意味する。天津金木を通して目視できない霊的なものが物質的に変換され姿を現すことを得る。神の存在を万人に知らしめることも天津金木の妙用である。
タカアマハラとは、前後上下左右に絶対的均衡を保ちつつ螺状旋回し、熱と光を放つ空間である。それは人を介して「成る、生る、鳴る」を同時に存在させ、はじめて目に見える形として現実世界に表すことができる。
このタカアマハラを構成、つまり、成り立たせている基が天津金木であり、天之御中主神のまことの力を覚るには天津金木の運用によるしかない
高天原は正しくは「タカァマハラ」と読む。それは次の４つの言葉に分かれる。
「タカァ」＝光明遍照の義
　　「タァマ」＝摂取堅縛の義
　　「カァマ」＝円融無碍の義
　　「　ハラ」＝螺状旋廻の義
「タカァ」は、中心から外側に向けて放射し拡散する神力。
「タァマ」は、外側から中心に向かって集まり凝縮する神力。
「カァマ」は、内から外、外から内へはたらく力が同時に存在する神力。
「タカァ」「タァマ」「カァマ」の以上の三つを三大神力という。
「ハラ」は、螺旋運動によってすべてを結びつけ、均衡を保つという場のことである。
天津金木学は、このタカアマハラの真相を研究する学問である。
このタカアマハラの成り立ちを学び実践する過程において、運用者に三大神力が備わり神の御子たるつとめを尽くすべき使命を知る。
タカアマハラを完全に研鑽するには理論の上だけでは限界がある。そこで「天沼矛（アマノヌホコ）」なる神器の登場が必要になってくる。アマノヌホコとは天之神霊凝縮神器である。ホコはすなわち火凝である。このホコあってこそはじめて神力が顕現される。
タカアマハラは螺旋する世界であるが、螺旋の方向に順流と逆流の二種あり。
タカアマハラというとき順流となり、ラハマアカタというとき逆流となる。
「ラハ＝螺旋波」「マアカ＝摩訶～全、大、多」「マアタ＝股、枝、支」「カタ＝片、半」
順流の神力は霊系でカムロギまたは「タカア　ミムスビ～高御産巣日神」という。
逆流の神力は体系でカムロミまたは「マアカ　ミムスビ～摩訶御産巣日神」という。
タカアマハラは、順流にしても逆流にしても螺旋状に旋回し続けている。その螺旋の一部を取り出してみるならば、葦の芽のごとき形状であり、発動する神力を称して「アシカビ」という。
アシカビがいくつも集合してタカアマハラが成立している。アシカビはタカアマハラの「マアタ」で、タカアマハラはアシカビの「マアカ」である。
アシカビの集合が全タカアマハラを形成するゆえ天津金木がアシカビを表すのはいうまでもない。
アシカビの本質は「ウマシ、アシカビ、ヒコジ」である。
何事が成立するにもまず中心（座標軸）が定まることが大事。中心が定まってその周囲に一定の体系が備わってくる。
地獄の世界では水が火に見える、天人の世界ではその火が瑠璃の玉に見える。また我々の世界では３００年にもあたるものが、竜宮世界では３年にしかならない。
それぞれの住する世界において、それぞれ時間や空間の見方も異なる。魂の次元が向上すれば見るもの触れるもの聞こえるもののことごとくが麗しく香しくなり、魂の質が低下すれば何を聞いても見ても触れても忌々しく腹立たしくまたこの上なく汚く映る。
スメタカアマハラミコトのスメは純粋意識であり、絶対体験である。タカアマハラを直観し、ミコトを絶対体験することが天津金木における第一要件である。
天津金木は自己の内在に即した純粋意識の発露であり作法である。純粋意識の境地にまで至ったときにはじめて真実の天津金木がはじまる。
天津金木と生死をともにする覚悟をもってこそ、はじめて天津金木は本義を発揮する。ウマシアシカビヒコヂのウマシは「死」、アシカビは「生」、ヒコヂは「絶対体験」をいう。真実の天津金木運用者は天之常立なる聖者である。

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