2013.06.12

                第99話 「天津金木 7」

 出口王仁三郎聖師は、滋賀県近江の琵琶湖にある水茎の岡山から眺めると、たびたび現れるという水茎文字を、言霊学の師である大石凝真素美師とともに再三ご覧になられていた。

 水茎文字は天地創造主が自ら描かれた文字である。すなわち創造主のお筆先である。

 「水茎文字は神界より使命ある者のみが見ることが出来る。これは大本開祖のお筆先と同じ内容である。お筆先に出るか、水茎文字に出るかの差である」と聖師はおっしゃられた。

 再三、琵琶湖に見に行くのが大変だからとて、綾部の大本神苑に大きな池を掘り、そこを金竜海と名付けて池の面に水茎文字を浮かべられた。

 この水茎文字は、天津金木で構成された文字「瑞組木文字」であることを知る聖師は、金竜海の畔に黄金閣(言霊閣)を建立され、殿内最上階にて自ら天津宮言の行事(天津金木、天津宮言菅曾、天津祝詞)を厳格に執行されていた。

 また、水茎の岡山に生息する萩は古来、天津菅曾を制作する材料で、これを採取し、天恩郷の月照山に植えられた。続いて「大山は日本大地の要であるから、その萩が栄える時は要の神(金勝要神)の時代である」ということで、鳥取の大山にも萩を植えられ、萩が採られぬようにするために農場も開かれた。

 このように、大本の綾部神苑に天津金木を、亀岡の神苑には天津菅曾を設置されたのである。

 天津金木は縦の仕組みであり、天津菅曾は横の仕組みであることはいうまでもない。

 琵琶湖の竹生島には、真の武を宣揚さるべく素戔嗚尊の恩娘ごである市杵島比売命が鎮座され、湖には八大竜王がこれを補佐している。

 近江は、淡海と言われた。アワは天地という意味、海は産むとなる。ここに創造主の筆先である水茎文字、すなわち天津金木が置き足らわされたということは、琵琶湖が千座の置座(天津金木を置く台座のこと)であるということである。

 創造主は、シナイ山を千座の置座として石に文字を刻まれ、これをモーゼにお与えになった。また創造主は、日本においては水面に文字を刻まれ、これを大石凝真素美師と出口聖師にお見せになった。

 そして、創造主は出口直大本開祖を千座の置座とされ、開祖を通して筆をとらせ、平易なひらがな文字をもって人類に警告を発せられた。

 十戒の内容は、神言と同じであると以前に誌上講座にて申し上げたとおりである。つまり天地創造の神は同じ内容を洋の東西を問わずわれわれ人類に示されたのである。

 稽古とは「いにしえ」を思い考えることである。ならば、この創造主が降されたことを行ずる以上の稽古は他にはないのではないかと存ずる。

 私たち和良久のいう稽古とは、この創造主の筆先である天津金木を全身全霊、心をこめて浄書することである。

 毎回の稽古は刻苦研鑽ではなく刻楽研鑽である。

 創造主といつもつながり、ともにあるためにと願う気持ちが、今日の稽古へ向かう楽しみとなる。

 稽古は神とつながる儀式である。

 稽古を離れてわが人生におけるまことの楽はないと思う。


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