2008.12.01   

第18話  愛は無限に進化発展する   −その2−

前話から、タイトルのごとく「愛は無限に進化発展する」という話をしています。ひと言で「愛」といっても実に様々な段階があります。この世における愛の進化発展には大きく4つの段階があると考え、前話では、第1段階の「情の愛」と、第2段階の「育成の愛」について話しました。今回は、さらに進化発展した第3段階の「無私の愛」と、第4段階の「真理の愛」について話していきます。

第3段階の愛である「無私の愛」とは、どんな愛なのでしょうか?

私は映画が大好きですが、中でも感動した映画のひとつに「ガンジー」があります。主人公役の俳優が実によくガンジーに似ていたのも印象的でした。「非暴力・不服従」を唱えて、時の大英帝国からインドを独立させ、「偉大なる魂」という意味の「マハートマー」と呼ばれたインド独立の父、マハトマ・ガンジーその人の生涯を描いた映画です。イギリスの塩税に抗議した「塩の行進」は、その不服従運動の代表的なものです。私が感動したのは、彼のこうした偉業もありますが、何よりも、ひとりの人間の「おもい」と「行い」が何億もの人や国をも動かした、ということです。

このように、この段階の愛の「おもい」の対象は、民族や国家レベルになっていきます。ときにはそれらを超えた人類に向けられていきます。この対象へのおもいの広がりや大きさの違いが、自分の周囲の人々やひとつの社会といったレベルにおもいの対象がある第2段階の「育成の愛」との違いのひとつになります。

また第3段階の愛のおもいには、「私が何かを得たい」とか、「私が何かになりたい」という一個人の私情がみられなくなります。まさに「無私なるおもい」です。私情がない無私なるおもいだからこそ、より大きな広がりをもった影響力となります。この点が第2段階からさらに進化発展した第3段階の愛の特徴と言えます。

そして、この無私なるおもいの根底には、「自分は大いなるものに生かされている」という意識とそれに対する感謝があります。さらには永遠不変の真理知識、いわば智恵の獲得向上も、第2段階との大きな違いと言えます。智恵があって始めて、愛もその真価を発揮できます。より大きな愛を与えることができます。ここにおいて智恵と愛が一体となってきます。一体になれるのは、やはり無私なるおもいだからこそだと思います。

「行い」もまた、先に挙げたガンジーのように民族や国家レベルにおいて「導く」、「勇気を与える」そして「癒す」といったことになります。その他にも例えば、政治家としては、リンカーン大統領が南北に分かれたアメリカをひとつにしたことや、サッチャー首相が英国病という慢性的な経済的停滞からイギリスを救ったことなども挙げられます。また、音楽家としては、バッハやヘンデルが作曲した音楽が、時代を超えてわたしたちの心を癒していることなども、この第3段階の愛の行いとして挙げられます。

さて、いよいよ第4段階の「真理の愛」になります。この地上での最終段階の愛とは、どんな愛なのでしょうか?

この段階の愛の「おもい」は「人類全体の霊性の向上」に注がれています。そして「行い」は、「永遠不変の真理を説く」ということになります。まさにイエス・キリストや仏陀の愛の段階となります。

第3段階の「無私の愛」との違いは2つ挙げられます。

ひとつ目は、「永遠性」という点です。第3段階の「無私の愛」の影響力は、ひとつの時代の民族や国家といった、いわば「空間的」」な広がりが主体でありました。これに対して第4段階の「真理の愛」は、イエスや仏陀の真理の教えが時代を超えて2,000年以上にわたり受け継がれているように、「時間的」な広がりも一段と大きく加わってきます。つまり「真理の愛」は、そこに「永遠性」がはっきりとみられるということです。

そして2つ目は、「真理の源泉」という点です。第4段階の愛を「真理の愛」と呼ぶごとく、この愛では神の代弁者として、預言者として、永遠の真理を人類に伝えます。それはまるで、やがて大河となる源流の泉のような愛であるということです。真理という智恵と愛がひとつになっているということです。第3段階の愛は、この第4段階の仏陀やイエスの説いた源泉のごとく湧き出た本流の真理を探求し、これを人々や後世に伝え広めるといった、いわば支流のような愛の段階であるということです。

以上が、私がおもうこの世における愛の4つの段階でした。愛の発展はそのまま魂の向上を意味します。わたしたちは、何百回、何千回そして何万回とこの世に生まれ変わり続けながら、その時々の人生での体験を通して智恵を学び、真理を学び、自らの魂を向上させていくのだと思います。経験より得た智恵や真理の学びがあって始めて愛も活きてきます。愛を与えることで智恵を学び、智恵を学ぶことでより多くの愛を与えることが出来る。こうして螺旋階段を一段一段登るようにして、愛の段階を無限に高めていく、魂を向上させていくのだと思うのです。

この寺子屋塾の第13話の「仏陀の教え」から始まり、第15話の「イエス・キリスト愛について」そして第17話の「愛は無限に進化発展する」から今回の第18話までの計6話の中で一貫して私が言いたかったことは、

・ 私たちの存在は、本来魂という霊としての永遠無限の存在であること。
・ 私たちの生きる意義は、ひとに役立ち愛すること。そのことを通して霊性を向上させること。
・ 智恵と愛はひとつであり、愛することで智恵を学び、智恵を学ぶことでより大きな愛を与えることができること。
・ 愛は無限に進化発展すること。言い換えれば魂の向上も無限であり、永遠であること。

以上があげられます。

さて、次回は、ぐっと趣を変えて、あまり知られることのない医学部での学生生活の話をしたいと思います。若きヒポクラテスたちは、どんな生活を経て医師となっていくのか?楽しみにしていて下さい。

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