2007/02/19  

第11話 相手は自分をどう見ているのか

 

 

「え、そんなつもりで言ったのではないのに!どうしてそんな風に解釈するの!」という経験を、あなたは何度もしたことがあると思います。でも私たちには、そろそろ自分の人間関係に何が起きているのか、おぼろげながら見えてきたのではないでしょうか?人間関係のトラブルは、実際には相手が思いもよらない聴き方をしているために起こっています。私たちの問題は「自分が見ているように、他人も世界を見ているはずだ」という無意識のうちに持つ幻想から起きているかもしれないのです。

 

この章は、実際に私たちのコミュニケーションに革命を起こすことが目的です。それには異なる四魂ベースの人たちが、お互いをどのように見ているのかをつかむことが大切です。

 

◆相手は自分をどう見ているのか

自分は人からどのように見られているのかは、とても気になるものです。いつも一緒に仕事をしている部下が、上司である自分をどう見ているのか、また、部下からすれば上司は自分をどう見ているのか。あるいは取引先の人は自分をどう見ているのか。また、夫は妻を、妻は夫を、あるいは恋人同士はお互いをどう見ているのでしょうか。

 

もしも自分や他人の世界の見方の違いを知り、それを個人のこと(欠点)とするのではなく、その人それぞれの世界の尊重の仕方を学ぶことができたら、人の心の垣根を取り払うことができるはずです。

 

◆  勇と親は互いにどう見えるのか

行動派の勇ベースの人から、調和を重んじ、自分を仲間に合せる親ベースの人を見ると、「主体性がない」と感じます。親の態度は曖昧で、人に合せてばかりいて自分が無いように見えるのです。「妥協ばかりして、目標達成する気があるのか」「みんなで沈没する気か」と思ってしまうのです。つまり、「親」は何を考えているかわからず、また、風見鶏のように、相手に合せてばかりで本音を言わないように「勇」には映るのです。そのため「勇」は「きちんと自分の意見を言うべきだ」「いったいどっちの味方なのだ」と思っています。

 

ところが、親ベースの人は、自分より「みんなのために」「グループのために」行動するのです。それは主体性がないのではなく、それが「親」の主体性と言えるのです。しかし、親ベースの人は自分自身も主体性がないと思っている場合が多く、それを直したいとすら思っているのです。

 

一方、親ベースの人から勇ベースの人を見ると、「グループの輪を乱す人」「意見を聞かない」「相談しない」と思うのです。自己主張する勇の人を「もっと仲良く平和に暮らしたらいいのに」「和を乱すのはいいかげんにしてほしい」となるのです。「自分勝手にやらず、ちゃんと説明して一緒にやるべきだ」とか、「皆のことを考えてほしい」と思っています。また、「言いっ放しで、役割も決めずあとは放っておく人間だ」とも思われているのです。

 

「勇」と「親」は、いわば天敵のような存在で、特に「親」から「勇」は苦手な相手になります。

 

●うまくかかわるには

勇ベースの人から親ベースの人にかかわるときには、「妥協ばっかりする人」と考えずに、「自分の目標達成に協力してくれる人」と見ることです。「こういうことをするのは皆のためになるから、協力してくれないか」と言われたら、協力しようと思うのです。

「親」から「勇」にかかわるときは、「皆の利益のために物事を前に進めてくれる人」として関わることが大切です。「親」からみると大変勇気がいることですが、直言すると「勇」はあっさりと言うことを聴いてくれる可能性が高いのです。ストレートに話すことを心がけましょう。

 

勇と智は互いにどう見えるのか

勇ベースの人から智ベースの人を見たときは、「口ばかりで、臆病なやつ」と思っています。「人間が考えることはしれているのだから、やってみないでなぜわかるのだ」と思っています。

「智は」失敗や無駄はしたくないから慎重です。智から勇を見ると、「考えなしで行動する」「猪突猛進」「バカ、もっと考えてやったらどうなの」と思っているのです。

「勇」の特徴は行動することで、「智」はそれを否定しています。また、「智」の特徴は考え分析することですが、「勇」はその特徴を否定しているのです。つまり、お互いの特徴をお互いに批判しあっていることになるのです。

 

●うまくかかわるには

「智」は「勇」に対して、「自分の考えを実行してくれる人」というふうに考えてかかわれば、うまくいきます。「勇」は目的の達成のためには、いいアイデアはすぐ採用します。「この目的には、このやり方を実行すれば成功するはずです」と言えば、「それはいいじゃないか」「よしやろう」となるのです。

 逆に、「勇」は「智」に対して、「良いアイデアをくれる人」であり、自分の目標達成のための行動に緻密さをもたらしてくれる、なくてはならない人だと接することが大切です。

 

◆親と愛は互いにどう見えるのか  

親ベースの人から愛ベースの人を見ると、「暑苦しい」「人に踏み込んでくる」「粘着関係を望む」「和を乱す」人だと思っています。用心して付き合わなければと思っています。特に、「親」は、「愛」に対して、自分の気にいった人さえよければ周りはどうでも良いという姿勢を、「いい加減にしろ」と思っているのです。たとえば、懇親会の乾杯などの大事なときに、仲の良い人と私語を平気でしているときなどです。

一対一の深い関係を求める「愛」から「親」を見ると、「なんか親切そうだけれど、いざ踏み込んでみると案外冷たい」「本当は冷たい人だ」「物足りない」「自分を表現してほしい」ということになるのです。何を考えているかわからないため、表面上の付き合いという認識です。

 

●うまくかかわるには

親ベースの人は愛ベースの人に対して、「あなたは特別な存在だ」というところからかかわればうまくいきます。「本当は冷たい人」「情の薄い人」と思っていますから、好きだとわかれば誤解は解けていきます。具体的には、何かをグループで始めようというときには、事前に個人的に説明をし、「あなたを頼りにしている」「あなたに助けてほしい」というメッセージを直接伝えることが大切です。

 

 「愛」は「親」にかかわるときは、あなたの欠点を補ってくれる大事な役割を持っていることを認識すべきです。あなたは、特定の人に注意がいき、周りの人たちに目が向かず、場を見ないことがしばしばです。このようなとき、親は場を創り保ってくれる役割を持っている人だと接することが大切です。

 

◆親と智は互いにどう見えるのか

親ベースの人と智ベースの人は、比較的付き合いやすく仲良しです。なぜなら「親」からみると知恵をくれる存在で、グループの和をかき乱すこともしないでマイペースでいてくれるからです。

また、「智」から見ると、「親」は「勇」や「愛」とは異なり、冷静で自分の存在を認め、意見をよく聞いてくれる存在として映ります。

ただ「親」から「智」へ批判するときには、「評論家で周りを気にしない」「自分を棚に上げて批評ばかりしている」「皆に協力しない」という思いが出てきます。

 また、自分の興味を求める「智」から「親」を見ると、「ポリシーがない」「自分がない」などという想いが出てきます。

 

●   うまくかかわるには

 親ベースの人は智ベースの人を、グループをまとめるための知恵をくれる人として関わることが基本となります。また、「勇」や「愛」の猪突猛進の気持ちを冷やしてくれる存在としても貴重なのです。

一方、「智」は「親」を人との関わりの薄い自分にも気遣いをしてくれ「仲間にうまく引き入れてくれる存在である」と関わることが大切です。また、理に流れがちな「智」に対して、グループの中に存在意義を認めてくれる人でもあるのです。

 

◆愛と智は互いにどう見ているのか

愛ベースの人から智ベースの人を見ると、情の薄い理屈ばかりの冷たい人間に見えます。「愛」は「理屈だけでは割り切れない」ことがあるのだと言いたいのです。「愛」がどんなに情熱的に関わろうとしても、「智」の人にはそれは疎ましく引いていくことになります。

智から愛を見ると、「感情的にならないでほしい」「お節介しないでほっといてほしい」と思っています。「愛」は自分の感情を押し付け、感情でものごとを決めるように「智」には現われているのです。感情を前面に出してくる愛の人が、世の中の人間関係のトラブルのもとを創っているという風に見ているのです。

 

●うまくかかわるには

愛ベースの人は智ベースの人に対して、知恵をくれる人と考えればうまくいきます。自分の愛を形にして成功させるためには、知恵をくれる人とうまくかかわれば、愛が形となり現実化していくのです。

「智」が「愛」にかかわるときには、理屈抜きで、理屈で考えたら到底やらないことをやってくれる人がいるのだという認識を持つ必要があります。また、「智」は、「愛」が理屈の通らないことを要求してくることを知る必要があります。これは、感情や情緒の大切さを教えてくれているのです。

 

◆愛と勇は互いにどう見ているのか

愛ベースの人から勇ベースの人を見ると、一生懸命目標を持ってやっている人をなんとか助けてあげたいという気持ちになります。また、「勇」から「愛」を見ると、話を熱心に聴いてくれて応援してくれる人になります。お互いに情熱的でうまく話が合うのです。意気投合してカップルや仕事の同志になるのもこの関係が多いのです。

ただ、深く付き合うようになると、「勇」は「愛」の感情のやりとりに関心を示さないので、「愛」は「勇」を情の薄い人間だと思うようになります。「愛」は情熱的に応援する代わりに、「勇」に自分の感情を受け取ってもらいたいのです。

 

●うまくかかわるには

愛ベースの人は勇ベースの人に対して、感情をぶつけるのではなく、目標達成のために自分を理解してほしいというところから話をすると、「勇」は話を聴いてくれます。これは「愛」にとって冷静さを要求され難しいことですが、それができれば関係は劇的に改善します。

逆に「勇」が「愛」にかかわるときには、目的達成のための理屈では通らないことを受け入れる必要があります。相手の感情を徹底的に聴き受け取ることが必要なのです。また、さまざまな機会を捉えて言葉やモノで思いやりを示す必要があるのです。

特に女性は恋愛中や結婚生活では、「愛」が強く出てくるので、他の四魂が強い場合でも両方の聴き方を前提にコミュニケーションする必要があります。

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