2007/05/14  

19話 どのように力づけられるのか(言葉と贈り物)

 

人にさまざまな聴き方があるのなら、どのように言われると力づけられるのでしょうか。

あるいは、どのような意図から話せば、勇気づけられるのでしょうか。

また、贈り物を貰った時、どう位置づけるか、どんな物なら喜ぶかも考察してみましょう。

 

●勇ー「目標を達成したね!おめでとう!」

 勇の聴き方の強い人は、「がんばったね」と言われてもそれほど嬉しくありません。達成するまでは、「まだまだできていない」と思っているからです。目標に向かって頑張るのは当たり前のことなのです。

 

達成のために、辛さに耐え、困難を乗り越えることが喜びなのです。さらに達成したときに、目標を達成したことを誉められることが無上の喜びとなるのです。しかも一緒に頑張った同志との喜びは筆舌に尽くしがたいのです。

 

達成の途上では、「必ず目的は達成できる。どんな困難があってもやろう」、あるいは、「あなたの志、覚悟はすごい」と言われると力づけられます。勇の聴き方が強い人は、大義のために自分が礎になること、さらには命を投げ出すことさえも辞さないと思っているのです。「勇」がいるからこそ物事が前進し成就できるのです。

 

「勇」は基本的には、あまり贈り物を重視しません。物欲が余りないとも言えます。贈り物を貰ったから働くとか、要望を受け入れるということも少ないようです。ただ、本当に達成したときに、その記念に因んだ物を貰えば、嬉しくなり、家でもそれを飾ったりはします。

 

●親ー「皆が喜んでいたよ」

親の聴き方の強い人は、皆の平和や調和を求めています。皆のために役割を果たすためにいぶし銀のように地道に活動しているので、「君がいたからこの場が作れたよ。だから皆がうまく回っている」という意味のことを伝えるのです。

 

「皆、あなたがこの場を創り支えていることを知っているよ」と、あなたの周りの「親」の人たちにさりげなく言ってあげてください。自分が皆の役に立っているという実感は何よりも嬉しいことなのです。

 

自分があまり目立つことを好まず、さりげなく誉められたいのです。また、個人的に誉められるより制度に則って評価されるほうが嬉しいのです。「親」が自分の個人的な思いを抑えて、皆のために場を造っているからこそ、グループの和が保たれ、会社の毎日の業務が回っているのです。

 

「親」の人に贈り物をするのは、氣をつける必要があります。他のひとには、どういう物が贈られたのかが重要です。自分だけ貰ったりしたら、落ち着かないのです。「親」の人は、お土産を持って行く場合も「皆さんで上がって下さい」と言って、人数分に分けられるようにと言うことまで配慮します。上司がお土産を貰っても、皆に分けずに自分の家に持ち帰ったりすると、非常に不愉快になるものです。

 

●愛ー「あなたといると幸せな気持ちになる」

愛の聴き方の強い人は、一生懸命やっている思いを「あなたにわかってほしい」と思っています。モノをもらうのも嬉しいのですが、それに付随する気持ちが嬉しいのです。モノにカードが添えられ気持ちが表現されると嬉しいのです。

 

したがって、「あなたのおかげで助かった」「ありがとう」「感謝している」などの気持ちを表現する言葉に感動するし、さらにあなたのために頑張ろうと思うのです。「愛」の人がいるからこそ、温かい、思いやりや感動のある世界になるのです。

 

「愛」の人と贈り物は切っても切れない関係があります。非常に贈り物を重視し、贈る場合も、贈られる場合も事細かく関心を示します。上司に贈り物の準備を命ぜられたとき、その上司が典型的な「愛」の人でしたら、注意をしなければいけません。相手が何を好み、前回何を贈ったから、今回はこういう物を手配したと細かく報告をした方がよいでしょう。時間の余裕があったら、その贈り物の中身と包み紙を全部見せて、OKを貰うところまで行うと「氣の利く部下」になれます。同じことを「勇」や「智」の上司にしたら、「君に任せたと言ったろう。出張前の忙しい時に、つまらんことで、煩わすな」とおしかりを受けてしまいます。

 贈り物の値段も重要な要素です。贈り物を貰った場合、自分の為に、どれだけの犠牲を払ったかが、一番の関心事なのです。ですから、物の中身ではなく、どれだけの出費をしたか、どれだけ大変な努力をしたかが評価の基準になります。極端な人は、「これいくらしたの」とまで聴いて相手の犠牲を確かめるのです。

 

 

●智ー「鋭い視点だね。本質を突いているね」

 智の聴き方の強い人は、自分の能力や技術、アイデアの巧みさを認められたいと思っています。自分が評価してもらいたいところを誉めてもらわなければ意味がありません。自分の工夫したところ、自分がこだわっているところに焦点が合わなければ、それほど嬉しくないのです。また、自分が詳しい分野の知識や情報を誉められたり意見を求められたりすることは、喜びなのです。

 

自分が認めている人から誉められると嬉しく、しかも認めている人であっても、その認めている分野で評価されたいのです。「あなたの情報によって結果が出た」「さすが工夫されているね」という意味のことを言われることは喜びです。「智」の人がいるから、ものごとが深まり、世界に深遠さと進歩がもたらされるのです。

 

「智」の人の贈り物に対する関心は広範に及びます。何故贈り物をしたのか。どういう下心があるのか。これを貰ったら、将来どういうことになるのか。中身はどうして、これを選んだのか。何故か。などなど瞬時にあらゆる角度から評価をします。考え抜いて贈られたと判ると贈り主を評価しますが、大抵、「考えが甘い、私ならこういう物は選ばないな」ということになりますから、大変疲れます。

 

このように励ましの言葉でも、贈り物でも、相手によって、全く違う角度から受け止められると言うことは念頭に置く必要があるわけです。これを知っている場合と、知らないでは、結果は大きく違いますし、その一言や贈り物で、生涯の友になるひとと出会ったり、絶交をしてしまうわけですから、単に「人間関係は難しい」と忌避をしないで、この『四魂の窓』を活用してください。

 

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